グーグル・アマゾン化する社会

グーグル・アマゾン化する社会 (光文社新書)

グーグル・アマゾン化する社会 (光文社新書)


グーグル・アマゾン化する社会とは、一言で言えば一極集中する社会のこと。
ちょっと前に話題になった梅田望夫さんの「ウェブ進化論」では、現在のウェブを取り巻く現状、特にweb2.0というキーワードやグーグルを主なターゲットとして、分かりやすく説明してくれていますが、本書はその現在のウェブにおけるいい点だけではなく、問題点について言及しています。
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多くの人がブログを書くようになったり、youtubeに動画をアップしたりと個の表現が増えて多様化が進むと言われる中で、一極集中の現象が起きるのはなぜか、それが社会に与える影響にはどういうものがあるのか、ということが本書のテーマ。
一極集中の好例として、GoogleとAmazonが取り上げられ、検証としてスケールフリーネットワークの例を出している点は興味深い。
単にユーザーがGoogleやAmazonに一極集中する、という話だけではなく、個人への情報の一極集中や、政治的・社会的問題に関する意見に関しても一極集中の傾向が見られるのではないか、というのが著者の意見。
まとめとしては、そういう傾向があるから、意識してないと無自覚に流されてしまうので、一極集中的思考を避け、主体性ある思考をしていく必要がある、としている。
本書の前半部分は「ウェブ進化論」と重なる部分が多いが、後半の個人・社会の一極集中化の考察は非常に興味深かった。
基本的には著者の意見に賛成。実際にそう感じることが何度かあるからだ。
ただ、一極集中化の問題点はあるにしても、それを差し引いてもメリットの方がやはり相当大きい。仕事柄プログラミングやプロジェクト運営手法について調べることがあるが、インターネットの世界には英知が蓄積され、インターネットが無かったらどれだけ自分の仕事の質が下がることか、とちょっと不安になるくらいだ。
最後に、主体性ある思考に関しては、別にウェブだから、という話ではない気もする。日ごろからいくつかの意見を聞いて見比べ、自分で考えるようなことをやっている人でなければ身につかないだろう。